中国漢方:Chinese traditional Medicine
 当店において医薬品の扱いは、一部の外用薬・試薬を除き、漢方薬のみでの対応となります。テレビCMの医薬品やコマーシャル品は一切ございません。その他ハーブや民間生薬など植物性原料は多数ありますが、これらは基本的に医薬品でないものが多いです。
  漢方薬は一般医薬品と比べて、難解なイメージがありますが、病名や特定臓器や患部に対して処方するものではない事が、一般的な医療の考えと反するので、難しく感じるのでしょう。とはいっても、初期の風邪に葛根湯、こじれたら小柴胡湯に柴胡桂枝湯、アトピーには消風散や黄連解毒湯、百虎湯、十味敗毒湯など・・といった処方をしているのであれば、幾ら漢方の原典や古典に精通していても、病名に対するマニュアル医学であり、箱モノを並べている一般店と同じで、生薬の性質を理解して専門的に組み立てて扱うものとしては物足りないものです。漢方の原典は傷寒論など多説がありますが、本当は易経まで理解していないと、本当の理解には繋がっていないと考えています。
  薬局における漢方処方は保険は利きませんが、基本的に自由に処方を選べます。自由と言っても、もちろん体質に合わせ、規定の西洋医学の規則に縛られないという意味です。保険を利用する場合は、医師に病名を特定してもらい、その病名に厚生労働省から登録された漢方薬のみが使用可能となり、その処方のみ保険が利く仕組みになっています。まず医師に処方箋を戴かないと保険は適用できません。もちろん処方薬は登録薬のみです。
  例えばアトピーにおいては内臓の疾患が絡んでいる事が多く、中医学において、本治には皮膚の病気と考えず、アトピー保険適用外の胃腸を強くする処方であったり、利水剤・補血剤・活血剤だったりしますので、保険適用内での処方は制約があまりに多く、治療は困難を極めるでしょう。もちろん冷やす処方を使えば患部の炎症は抑える事もありますが、冷やすのは患部だけではないので、これらは長期使うものではない事を覚えておいてください。
 日本において漢方処方を医薬品として製造するのは、医薬品販売免許以外に医薬品製造許可の免状が必要となり、厚生労働省の定めによる210処方の医薬品製造という制限事項の元で処方製造する事になります。処方数に制限がありますが、これらを柔軟に使いこなせば、結構な応用も可能です。実際は中国漢方の複雑な処方まで認可されれば、楽なのですが・・・・。医薬品以外に一般生薬で民間薬として、単離的に使う事で上手く解決する例も多いですが、これは俗説も多く、誰しも効能や適用は一緒ではなく、体質で相性が大きく決まるので、ご注意ください。季節(外的な環境因子)によって服用する薬が変わる事もしばしばです。もちろん精神的な内面因子の変化で症状や処方薬が変わる事も当然あります。

 「漢方」という言葉は日本語であり、中国にはない言葉で、厳密には日本の伝統医学といえます。ただ原点の中国の古典医学より出発し、内容はそれと酷似しています。それぞれの国で独自に発展していますが、原点である中医学ベースで日本漢方を振り返ると、中国語の初歩的な翻訳ミスなども独自の日本の伝統になっていたり、その理解度において疑問点が多い事が指摘され、権威的日本漢方の第一人者が亡くなり、単にその古典の伝統を引継ぐ現代においては、医師を始め、本格的な中国伝統医学を学ぶ方の多くが、治療には中国漢方をベースにすべきだという動きが高まりつつあります。 当店においても、生薬の適切な利用と、その誤用を防ぐためにも、中医学をベースに処方を考え、これらを用います。ただし混乱を避けるため、中医学をベースにしつつも、言葉は「漢方」という言葉で総称します。

より詳細な内容は左欄の中医学のコーナーで順次書いていきます。(現在作成中)