動物実験について(化粧品・医薬品)
当店でも一部の動物性原料は扱っていますが、動物の苦痛や無駄な殺戮を促し生態系に影響を与えるものは一切避けて扱っています。例外として、「蜜蝋」や「シルク」など (ただしキチンと管理されたモノに限る)、 人間との健全な共生関係を保てるものだけ扱っています。動物性は一切ダメという厳格主義ではなく、「自然」と「その下に生きる人間」の双方の健全な共生が出来る点を大きな判断基準にしています。

◆化粧品において
 本当の美しさの表現方法は、こういった犠牲から生まれるべきではないはずです。多くのノーアニマルテスト製品が出回りだした今日において、未だに生ある動物で安全を確認し、無残に帰らぬ状態にする過程は、生態系からみても行き過ぎた行為であり、同意できないので、倫理観より経営を選ぶ大手化粧品メーカーの製品の店頭販売は行っておりません。経営の中に倫理観が少ない点が問題です。有名女優で美化された宣伝で、隠された生産過程は、決してお勧めできないものです。可哀相だという感情の問題でなく、同じ生ある生き物として、短絡で行き過ぎな行為である事を再認識していただきたいものです。
 欧米の動物愛護運動は無視できない勢いで、社会に影響を与え、日本にはない面白いムーブメントを一時引き起こしていました。 (一部過激犯罪や悪質なムーブメントはサポートしません)  「お上献上型」の日本ではなかなか普及しないのですが、徐々に輸入品として動物実験フリーの商品も出回りはじめました。国内品でも少しながら出回っていますが、いずれも価格設定には疑問を感じます。当店ではオーガニック+アニマルテストフリーで、安全性面においても長期の安全販売実績のある化粧品をメーカー品として現在扱っていますが、一部他社に変更中です。
 良い物がなければ「自分で作ってしまえ・・・・・!」という手作り化粧品の面白い風潮は欧米から湧き起こっており、当店もその考えには賛同し、ナチュラル素材の安価な提供も行っています。香粧原料のオーガニックオイルや、その他オーガニック素材で作った手作りコスメの品質レベルは既製品の数倍の品質になる事も多々あります。手間を掛ける事が出来るのであればあらゆる意味で賢い選択になるでしょう。研究開発費は仕方ないですが、宣伝費はもっと削減すべき箇所で、時には過剰な洗脳効果ばかりが謳われている気がします。今後問題を引き起こし、変わらざるを得ない箇所になるでしょう。 宣伝費に莫大な投資がなされ、本元の原料費は安価という製品に疑問を持つ方は増えてきています。オーガニック原料や厳選された未精製油などを使うと、既製品では高額な買い物になってしまいます。

◆医薬品において(中医学に動物実験の考えは合致しない)
 漢方といえども、国内大手漢方エキスメーカーは動物実験で臓器の反応を見て、西洋医学と同じ臨床データを集め、その普及を図っています。西洋医学を意識した考えですが、漢方薬の方剤の理解とは逆に遠ざかり、医療現場で多くの副作用を生んでいます。中医学の本質は、我々をとりまく大きな法則に人体を当てはめ、そのバランスの在り様を考察する事で、 天体や宇宙に代表されるところから、天文学などにも多く関わっています。中医学の根源は易経に辿り着く点からもお分かりいただけるでしょう。 宇宙観を示す"天圓地方" から外れる製薬企業の考えは、中国医学本来の考えからは反していますが、今後も西洋薬を意識したこういった動きは残念ながら増えるでしょう。医学は他のサービス分野と違い、人を助ける学問ですので、必ずしもビジネスに直結した競争社会が医学の進歩に直結させるのは未熟な方法です。病気を克服させてあげたい気持ち・生命を尊む気持ちを形にするための学問は、機械生産やモノ作りと同じ考えではいけません。
 当店において医薬品を選ぶ際は、扱い上、漢方薬を選定する事になります。中医学は長期間に及ぶ人体実験の蓄積とも言え、動物実験データに基づく学問でもありません。少なくとも当店の情報源は、漢方製薬企業のマウスなどの臨床結果に基づく西洋医学ベースのデータは全く参考にしていません。小さなマウスに効果があれば人間にも同じ作用があり、臓器における安全性が本当に確認できるのでしょうか。生薬単独の作用を調べる事は生薬から成分抽出するには有効でしょうが、漢方においては少し的外れになります。漢方薬は陰陽の性質がはっきり分けて使い分けるので、健常者においてもこの性質が相反すると、副作用と言われるような結果が出ます。これは本来は副作用でなく、誤処方ともいうべきす。「小動物と人体」、「病名と処方名」を一律化したり、臓器の一部をポイント的に見た西洋医学の考えは、単離抽出物や合成化学品の特定作用だけを有する事が確認されている範囲の原料で行われるべきです。生薬2剤で違った性質を作り出すなどの漢方処方においてふさわしい使い方ではないでしょう。西洋医学的見解は、保険適用やマニュアル学問として便利なものです。しかし副作用を頻発させている通り、注意も必要な部分です。人間は複雑に絡み合った有機体ですので、これら単純な発想では、一部疾患においては本質的な治療に結びつかず、一様の効果は認めるものの、その治療は対症療法になりがちです。副作用という公認の?逃げ道があるのは治療するものにとって大いに助かりますが、漢方で副作用は誤診とも言えるので速やかに処方変更を考えるものです。
 漢方医でない、一般医療現場の漢方治療においては「エキス製剤で効果がない」「妙な副作用(*1)」という弊害ばかりが表に出ているのが現状です。漢方処方はいくつか最低限の西洋医学以外の知識を要する難しい医療なはずです。 ホリスティックなケアや、独特の問診が必要な点からも、西洋医学と全く違うアプローチと知識の必要な特別な学問と考えています。安易な知識で漢方や生薬を語る自然食品関係者や、一部鍼灸関係者のお勧めも、古くの伝承薬レベルの事であり、中医学を語っているものではなく、安易に冷えなどについても生薬学を語っている事があり、その問い合わせに当惑する場面も多くあります。どくだみ・すぎな・松葉などはよく言われる代表的生薬ですね。特に地方や古い方にこの傾向が根付いています。冷えはよくないと言いますが、現在の中医治療で肝熱や虚熱といった実熱・虚熱を冷ます処方は欠かせません。体が冷えていれば温めるのか・・・というと、そういった単純な事をしないのが実際の漢方の証の決め方になります。また現代人の体質は独特で複雑です。なかなか見た目で判断する「勘」が通用しない時代にもなっています。
 商品として規格化して「多くのもの」を「多くの人」に「しかも安全」に提供しようとする、大手の合理的精神は漢方という名の下では、非常に無理があるのです。これは栄養補助食品か食品となるべきでしょう。オーダーメイドで始めて出来上がる漢方薬とは、色々な意味で区別していただきたいと考えています。 体質は皆同じではないので、症状が似ていても自分だけの処方に仕上がるはずなのです。
*1) 柴胡剤や半夏生薬の陰虚患者への適用による乾燥性疾患の悪化は顕著です。禁忌患者なはずですが、日本においてこの制限は今のところ日本にはありません。逆に痰湿の影響のある方への補陰剤の胃腸への副作用例も後を耐えていません。(ただエキスメーカーが添付文書の改定で注意事項を日々増やしていくばかりです)