漢方薬のよくある質問
 

【西洋薬と大きく違う点がポイントです】


1)「○○病に効く薬ありますか?」 漢方薬の処方選びに病名は参考程度

当店として、医師につけられた病名を治してくれと言われるほど難解なものはありません。たとえば糖尿病という病名に対して、進行の度合いや現在出ている症状と舌質で処方が全く異なる事が多々あります。高血圧は立派な病名ですが、東洋医学では体質的な症状であって、血圧をあげている要素を探す事が重要なのです。高血圧を治すのではなく、本元をたたけば血圧がゆっくり安定してきたという考えで、血圧の上下は信号にすぎないのです。

処方初期の風邪に葛根湯や麻黄湯というのは、体質が実証である前提や、発汗の具合によって飲用の可否を決める事であって、風邪で初期だからではないのです。
これらは西洋医学の統計論であって、本当の弁証を行っているわけではありません。しかし病名は大きな体質を把握するツールとして必要な問診事項です。意外と現在の病歴以外に過去の病歴を知る事も有用ですので、併せて全てお知らせください。

日本では西洋医学の考えで全ての薬が認識されておりますので、葛根湯の箱には堂々と初期の風邪と書いております。書いている通りに服用し、悪化すると(処方が外れると)、それは副作用であるとして、統計論外の病気、または漢方薬アレルギーとして扱われます。決して誤治という認識はありません。「漢方薬はこわい」という本はいくらでも作り出せるネタがあります。使い方を誤れば悪化するのは当たり前の事です。国内における誤診例はあまりに多く、生薬量も少なくしないと危険な側面があります。
 膨大な国家の医療費を動かす制度が絡むだけに、誰でもわかりやすいマニュアルがないと運営できないため、仕方のないことですが、漢方薬と西洋医学は使い方が誤っている事が非常に多くあります。やはり漢方薬は専門の漢方医師や専門の勉強をした薬局に相談される事をお勧めします。エキスや箱物商品を売るところでなく、煎じが作れるところでの相談を強くお勧めします。

2)西洋医学にない病気

からだに水分が溜まりすぎれば、非常に不快なもので、湿気の多い日本特有の症状の一つです。病院に行き、むくみでもなければ利尿剤は出ませんし、水滞の治療という認識もありません。上部に溜まった水の滞りは、欝や不眠・すっきりしない・不機嫌などの各種精神的症状を作り出し、消化器系や子宮に溜まる水分が食欲不振や嘔吐・つわり・下痢気味の体質を生み出し、さらに下部のに溜まる水分が体のだるさや抹消血管の循環を悪くして、冷えとむくみ、皮膚の障害を起こすというと、医師には笑われてしまいます。しかし利水の処方剤で上記症状を改善させた例は、数多である事実があるのです。
 各種精神症状には、動いていない気の流れを基本的に上手く流す事が本筋ですが、止める事が得意な西洋医学の手法は、二次的なところをとめて、悪い働きを抑えます。主に神経系の受動態や伝達物質の動きに抑制的な作用を働かせます。ある意味鎮痛剤に似た概念ですが、現れた強い症状をとりあえず改善する「標治(ひょうち)」と、ホリスティックな観点でバランスを整える「本治(ほんち)」を上手く取り入れる必要があります。気の流れを阻害している水滞や気滞・冷えなどの有無を探して取り除かなければ動きません。動き出せば軽い症状があっても我々の認識としては大成功で、あとは自分の力で改善できるものと思われます。決して止める薬の長期連用(動かない体作り)はしたくないものです。一般的に、止めて治す(?)とされる薬は、飲み続ける必要があるとされるものが多いです。気を動かす・水を抜く・血を動かす・あたためる事は東洋医学の得意な部分です。

3)漢方薬や東洋概念で治さないほうがよいもの

東洋医学が万能である事は決してなく、症状に応じて最良のアドバイスを差し上げるのが医療従事者としてあるべき姿です。
真菌類などによる、殺菌・抗菌等には、速やかに抗生物質を短期間飲む方が、からだにも負荷が少なく断然有利です。これらを代表する感染症、薬物中毒の化学的療法、その他病原が科学的処理で修正が明らかなものには、あえて東洋医学で清熱解毒としての処方で治すよりも、殺す・止める・冷やす事が西洋医学の得意な場所なので、何ら生薬利用の強い服用意志がない限り、漢方薬をお勧めしない事があります。しかしウイルスは西洋医学でも特定の抗ヘルペス剤以外、奏功するものが少なく、インフルエンザをはじめ各種風邪のウイルス感染症には、漢方薬や生薬における抗ウイルス作用がお勧めの例があります。
いずれにおいても、1年間、同じ薬を飲み続けているが、一向に症状が改善しないなどの場合は、治療方針を根本から考え直す事をお勧めします。

4)漢方薬に保険は利きますか

薬局で購入する場合は基本的に保険適用にはなりません。全額自費です。自費の場合のお薬の価格は薬局の頑張り次第ですので、決まっておりませんが、地域性が非常にあり、高い地方はもしくは安い地方があります。
保険は、医師に病名を認定していただき、その認定書(処方箋)を受け取る事で、初めて使える資格を得ます。その処方箋を調剤薬局にもっていけばお薬が入手できます。
ただし病名についた漢方薬のみしか保険は適用されません。
病名をたくみに使って、最適な漢方薬を保険適用で処方していただける良心的な漢方専門医師もいますが、実際その応用はかなり難しく、自身の危険もおかしますので、通常は漢方に精通した本格処方をされるドクターは保険という枠に束縛されず、保険の利かない本格処方を自由にするドクターが大半を占めることになります。そういった専門病院は束縛されるものがないので、まさに一級の漢方薬を自由に作ってくれます。漢方薬局も自由に作れますが、医師ではないので特定の制限事項があります。とはいっても200種以上の処方から選べますので、多くはこの中で兼価に提案できる事が多いです。
以上の通り、医師経由の処方箋なのに、保険が利かないお薬作りになる事もあります。上手に保険適用でピタリと合うものが見つかれば、それが最良ですが、上述の通り日本の医療制度は西洋医学をベースに考えていますので、どうしても統計論から抜け出せない処方荷ならざるを得ない制限がございます。

5)どれくらいで治りますか?

正直な回答ですが、全く分かりません。
当店としては2週間を1クールとして、大まかに1ヶ月2回の処方を見直し、修正を加えて早く脱薬できる様、努めるばかりです。
大まかな経験上のものですが、同じ疾患名で比較すると、年齢が若いほど、治りは早い傾向にあります。体質的に悪い方面に偏重したものを修正する場合、長年に渡って放置された体質は、それが正常なものとして周辺臓器が機能していることさえあります。そのため、修正を加えると、修正薬を毒のごとく悪者にしてしまう、もしくはなかなか修正が効かない事もあります。瞑眩(メンゲン)などと言われる現象ですが、大きくはそれは数日で体に合っていない症状なのか、瞑眩であるかは本人が自覚される事が殆どです。瞑眩(メンゲン)は何とも言えず最後にスッキリとして、それに伴い症状が目に見えて変わってくるからです。
一般的によい方向への軌道修正は体が欲しているものであり、その手段や、きっかけを与えれば、すぐに同調して速やかに移行してくれるものです。子供など一切汚れていない内臓には特にその傾向が顕著に出ます。それゆえ、デトックスや解毒という言葉は、マスコミが面白く取り上げていますが、生活習慣上、身におぼえのある大人にのみあるもので、子供では殆どありません。胎毒なども多くは母体だけであり、子供は綺麗な事が殆どです。子供にデトックスは殆どありません。代謝も活発です。ただし本当の毒には解毒能力が未発達ですので注意が必要です。

 脱線してしまいましたが、2〜3ヶ月を大きなスパンとして、今後も続けるか検討される事をお勧めします。難病や免疫性疾患・老人性のもの・耳鳴りなどは非常に多くの期間を経ることが常です。これに関しては半年を大きなスパンとして、継続の是非を検討されてはいかがでしょうか。


その他質問も、随時追加していきます。(現在作成中)